オープンスタンスとニュートラルスタンス

フェデラーの試合映像を分析する機会があったのですが、3時間以上の試合時間の中でフォアハンドストロークを打つそのほとんどがオープンスタンスからはじまる打球動作でした。スクエアスタンスもしくはニュートラルスタンスを使ったのは僅か2~3球かもしれません。

意外かもしれませんが実は当然のことだと考えることが出来るのです。オープンスタンスからの打球に対して、ニュートラルスタンス(スクエアスタ ンス)で打球する際には前足を踏み込む1ステップ分、余計に時間が必要になります。試合の中で相手のボールのスピードがあり、時間的な余裕の無い状態では ニュートラルスタンスよりも1ステップ短くすむオープンスタンスを多用するほうが良いでしょう。

相手のボールが浅くなった場合でもオープンスタンスを使うケースがほとんどでした。そして数少ないニュートラルスタンスでさえも、一般的に考えている打球方向と平行に両足並べるスタンスとは幾分異なっていました。

図中の左が一般的に言われるスクエアスタンスであり、右がフェデラーに見られる打球方向に踏み込んで打つ時に使うスタンスです。両者を比べても明らかにそのスタンスの両足の位置関係は異なるのが分かります。

ここでフォアハンドストロークの動作において重要なボディーターンはどちらがやりやすいか考えてみましょう。フォワードスイング初期では上体は 打球方向に対して横向きとなるのが望ましいのですが、左のスタンスでは簡単に必要な横向きが可能になります。しかしこの後インパクトに向けてボディーター ンを行おうとすると、体を打球方向に向けるのが、難しくなっていくのが分かります。股関節は一定の距離を持って人体骨格上に置かれているのでボディーター ンにおいてはそのスペースが確保されている必要があります。打球方向に対して真に平行なスタンスの場合にこの必要なスペースは極端に狭められてしまうので す。一方フェデラーの行っているスタンス(図の右)ではボディーターンをした時のスペースが確保されているために、十分なボディーターンを発揮することが 出来るのでしょう。

ただし、フォワードスイング初期の段階では注意が必要です。右のようなスタンスで構えたときに、上体は正面に向きやすいでしょう。しかし後ろ足(右足) にしっかりと荷重をしていれば、上体の向きは後ろ足のつま先もしくは膝の向きに自然と揃っていくはずです。その結果打球方向に対して横向きの姿勢が出来る はずです。そしてフォワードスイングにかけて今度は前足に荷重がかかるように上体を前足の上に移動すれば、今度は前足のつま先の向きへと上体の向きが変化 していくことに気が付くでしょう。もちろんこのときの前足のつま先はしっかり打球方向に向かっていることが重要になります。

スクエアスタンスでも打球方向に対して両足は若干段違いにして構える